レーザーの安全性

IPGフォトニクスでは、独自のファイバーレーザーや増幅器を、システム統合者に提供すると共に、エンドユーザーにも直接販売いたします。IPGでは、多種多様なエンドユーザーに製品を提供しておりますので、ここで、レーザーの安全性に関する基本的な情報を記載しておきます。

この情報は、現在弊社製品を使用中のお客様と将来購入される予定であるお客様へのサービスとして提供されます。レーザーの安全性に関する詳細情報については、本章末のリンクをご覧ください。

概要

レーザーや増幅器の光源は、自然界には存在しない光を発生させます。高輝度光等の刺激がレーザーキャビティに導入されるとレーザーが輻射されたり光が発生します。出力は光ですが、レーザーや増幅光は日光や電球の光とは大きく異なります。したがって、レーザーや増幅光は特殊な特性を有しているので、機器の操作中には危険を伴い、整備中にも危険を伴うことがあります。 レーザーや増幅光の光源は、非常に強度の高い単色光の可視光線や不可視光線を発生させます。レーザーや増幅光は干渉性であり、これは光波が互いに同相であることを意味します。また、干渉性を有するということは、波長や強度が同じである非干渉性光よりも危険なことを意味します。平行ビームや、デバイス開口から輻射されても急速に分岐しない光は、開口から遠く離れた場所であっても危険性を有しています。

危険性

レーザーの危険性を考えた場合、一般に最も注意しなければならない身体部位は、目です。下記の情報では、目に対する危険性のみならず、レーザーを使用する際に注意すべき他の危険性にも言及しています。

IPGのダイオードレーザーは980 nmの波長付近、イッテルビウムレーザーと増幅器は1060 nmの波長付近、ラマンレーザーと増幅器は1400nmの波長付近、エルビウムレーザーと増幅器は1550 nmの波長付近、ツリウムレーザーと増幅器は2000nmの波長付近で、それぞれ動作します。IPGでは波長980nm未満のレーザー源も提供しています。

目に対する危険

レーザー光に曝されると目を損傷することがあります。 レーザーの波長や強度によって、目への損傷が異なることがあります。:

  • 可視光(400nmないし700nm) および近赤外光(IR-A, 700nmないし1400nm)は目を通過することができるため、網膜や視神経と目の中心部に回復不能な損傷を引き起こすことがあります。人間の目は、通常、400nmないし700nm(紫から赤まで)の波長域の光を分解することができます。 残念なことに、1400nm以上の波長も目を通過して、網膜や視神経に重大な損傷を与えることがあります。
  • 近赤外以外の波長の不可視光線は、目の外側部分に損傷を与えます。 紫外線(180nmないし400nm)は水晶体や角膜の損傷を引き起こします。 中赤外線(IR-B、1400nmないし3000nm) は、表面を通過して白内障を引き起こす可能性があります。遠赤外線(IR-C、3000nmないし1mm)は目の外面や角膜の損傷を起こすことがあります。
  • さらに、さまざまな角度で反射する二次ビームの存在を忘れてはなりません。 二次ビームは作業面や作業面の近くに存在します。 これは、メインビームがさまざまな面で反射された正反射です。 二次ビームの強度はレーザーから放出される総出力よりも弱いものの、目に損傷を与えるほど強く発生することがあります。 レーザーを設置する際には、この条件も考慮すべきです。

その他の危険性

  • レーザーシステムによって皮膚をやけどすることがあります。 やけどの起る可能性ややけどの程度は、波長や出力によって変化します。
  • 一部のレーザーシステムは大型装置の一部分を構成しているため、操作者自身やレーザー周囲にいる人々に対して十分配慮した上で操作してください。
  • レーザーによっては、衣服や紙を燃やしたり、溶剤や可燃性物質を点火するほど強度が高いものもあります。 レーザーシステムを使用する際には、この点を十分配慮してください。
  • 強力なレーザーを使用すると、金属が高温に加熱されたり溶融することがあります。 作業の結果、材料の小片ができる場合には、特に注意してください。

電気的な危険性

  • レーザーでは高圧(交流および直流) が使用されることがよくあります。電線の接続箇所に加わる電圧は、すべて高電圧であるものと見なしてください。 電線やコネクタや装置の筐体は、すべて危険であると見なしてください。

レーザー分類法

上記の安全性に関する情報に加えて、以下ではレーザーシステム分類法を簡単に説明します。レーザーシステムは、エンドユーザーが操作中にどんな波長や出力にさらされるかに応じて分類されています。これは、レーザーシステムの危険性と関連して説明されています。分類は、放射波長、出力電力、ビーム特性で決定されます。

レーザークラスはクラス1からクラス4まであり、分類の数字が大きいほど、レーザーシステムの危険性が大きくなります。レーザー分類はレーザーシステム上に記載され、分類番号にはローマ数字が用いられます。分類が完了すると、製品上に分類番号を明記したラベルを貼り付けます。このラベルには、警告文とともに、波長や総出力電力やレーザー分類についての情報が記載されています。

クラス1
クラス1レーザーシステムは基本的に人体に安全です。通常の動作環境の下では、このレーザーが潜在的に健康に害をもたらすことはありません。 操作中に人体にレーザーが放射されないように、特別な設計上の考慮がなされます。

クラス2
クラス2レーザーシステムは低電力の可視レーザーです。人の目はまぶしいときに自然とまばたきをしますが、クラス2のレーザーはそのまばたきによって十分目を保護できる程度の強度です。ただし、長時間直接目に当たると損傷する恐れがあります。クラス2には、「注意」ラベルが必要です。

クラス3
クラス3aレーザーシステムも「注意」ラベルが必要で、場合によっては「危険」レベルが必要なこともあります。短時間であれば、まばたきによって目が保護できるはずです。光学的な調整を行っている際などに集光レンズを通してレーザーを見た場合、目を損傷する恐れがあります。

クラス3bレーザーシステムは、直接光や二次ビームを見た場合に危険を生じることがあります。通常、このレーザーはつや消し面で反射しても危険な二次ビームを発生させることはありません。こうしたシステムには「危険」ラベルを貼付します。目を損傷する恐れはありますが、火事ややけどの恐れはさほどありません。このレーザーを使用する場合には、レーザー用保護めがねを着用するようお勧めします。

クラス4
クラス4レーザーシステムは、目と皮膚に対して危険です。直接ビーム、二次ビーム、拡散反射は、すべて危険です。クラス4レーザーシステムには「危険」ラベルを貼付します。クラス4レーザーはレーザーの存在下やその周辺の部材に損傷を与え、可燃性の物質を着火します。このレーザーを使用する場合には、レーザー用保護めがねを必ず着用しなければなりません。

IPGフォトニクスでは、クラス3bとクラス4のレーザーやレーザーシステムをエンドユーザーに供給します。レーザー使用者や使用を予定している者は、下記の点に十分注意してください。

  • ユーザーガイドを熟読しよく理解した上、製品を使用する前に、操作や保守に関する指示を習得してください。質問や不明な部分がある場合には、製造者にお尋ねください。
  • 操作区域内にいる操作者は、レーザー放射を行う前に、適切なレーザー用保護めがねを着用しなければなりません。これは、直接レーザーシステムを使用しない操作者にも適用されます。
  • 電源が入っている時は、絶対にレーザーの出力ポートを直接見てはいけません。
  • レーザーのセットアップを行い、レーザーに使用される全ての光学コンポーネントを目の高さから遠ざけてください。
  • レーザーの作動中は、ファイバーやコリメータを設置したり終端しないでください。
  • 固定具にファイバーやコリメータを取り付けるなど、出力側で作業をする際は、必ずレーザーのスイッチを切っておきます。必要に応じて、低出力で光学系の配置を調整した後で、徐々に出力を増加させてください。
  • レーザーと被加工材料との相互作用により、高強度の紫外線や可視光が放射することがあります。 レーザーの筺体を所定の位置に配置して、可視放射光から目を保護してください。
  • 作業台が確実に換気されていることを確認してください。レーザーと作業台の相互作用によって発生するガスや火花や破片によってけがをする恐れがあります。
  • レーザーは、ドアのインターロックにより部外者が侵入できない室内で使用してください。 警告板を掲示してください レーザーの操作中は、作業区域にはレーザーの安全性についてトレーニングを受けた者のみが出入りできるよう、アクセスを制限してください。
  • 暗い場所では、レーザーの使用を避けてください。
  • 光学出力コネクタにカップリングファイバー(または同等品)を接続しない状態で、レーザーを動作させてはいけません。
  • レーザーの操作者は、レーザーが使用中であることを他者に通知し、レーザー区域を管理する義務があります。

保護めがね
レーザー用保護めがねには、それが保護する光度や波長の範囲を記載したがラベルが貼付されています。 光度(OD)は、レーザー用保護めがねを選択する上で最も重要な因子です。光度は下の式で算出されます。

光度 = -1 (光透過率)

Tl = 10 -OD

上式によって、ODが1段階増加するごとに、保護度を10倍増加させる必要があることがわかります(レーザー伝送が10分の1に低下する)。IPGフォトニクスでは、保護めがねの要件を評価する際には、レーザーシステムのエンドユーザーが用途を再確認するようお勧めいたします。エンドユーザーがレーザーの使用やその結果に伴う危険性を十分理解することが重要です。

IPGフォトニクスは、レーザーのユーザーが、レーザーに関する各地方や都道府県や国の要件を確認して、設備や建物がレーザーやレーザーシステムの設置や使用に対して適用される要件を満たしていることを確認するようお勧めいたします。

レーザーの安全性に関する詳細情報については、下記のリストを参照してください。この中には詳しい情報を含んでいるものもあります。

米国レーザー協会(LIA)
13501 Ingenuity Drive, Suite 128
Orlando, Florida 32826
電話番号: 407.380.1553, Fax: 407.380.5588
(アメリカ国内)フリーダイヤル : 1.800.34.LASER
http://www.laserinstitute.org/

米国規格協会
(ANSI) Z136.1 – 2000、レーザーの安全な使用に関する米国国内規格(LIAより購入可能)

国際電子技術委員会
EC 60825-1、第1.2版、2001-08年
レーザー製品の安全性 - パート1:
装置の分類、要件、ユーザーガイド。(LIAより購入可能)

レーザー安全装置
Laurin Publishing
レーザー安全装置と購入者ガイド
http://www.photonics.com/Directory/